平成17年度愛知県スキー技術選手権大会決勝ジャッジ講評

梶田洋象(SAJイグザミナー)

梶田洋象(SAJイグザミナー)

まずは、参加された選手の健闘をたたえるとともに、地元、役員の方々に御礼申し上げます。

今年も昨年同様北海道からイグザミナーの細野、浜辺両氏をお迎えしてジャッジをさせていただきました。

さて、全体的に見た印象として、強化選手などのようにしっかり現在の教程にのっとった滑りをされている方と、形のみ真似しようとされている方の差が大きく結果に反映されていたと感じます。

例えばトップコントロールが要求されるシチュエーションで内向という部分をとってみても上体のみの内向は単にローテーションであり、あくまでもターン内側への荷重と角つけをした上で下肢、腰、上体がバランスよくセットされることが求められます。

同様に、外スキーで堪えながら内スキーは浮いているにもかかわらず無理にワイドスタンスで雪面につけようとするバランスの悪い体勢でターンをされている方も多く見受けられました。そのような観点からも上位に入られた選手は概ね理解が進んでおり、接戦になったと感じられました。しかしその中でも、今後習熟度を上げてゆかなければならない点が見受けられました。例えば速いスピードや強い斜度が、また速いリズムにおいて、動きがなくなる、ポジションが後ろ気味になる・・結果的に中途半端(トップコントロールの意識でありながら結果的にテールコントロール的)な状態になってしまう選手が目立ちました。

小回り・急斜面・整地

ターン導入時のスキーに対する荷重と角つけのしかたを中心に、リズム、ターン弧、バランス、コントロール能力などを見させていただきました。

雪面状況は比較的スピードの出ない状況ですので、トップ&テールコントロールよりもトップコントロールという要素を重視させていただきましたが、小回りのリズムにならない、単にスタンス広げてエッジの切り替えだけで落ちてきてしまうなどの滑りが目立ちました。基本的な習熟度を上げていただきたいと感じると共に、その練習方法の研究もしていただきたいと思います。

総合滑降・急斜面・整地

両スキーを上手く使いながらリズム良くスキーを走らせているかどうか、言い換えればニュートラルゾーンの積極的な活用と、積極的なトップコントロールによるターン導入、そしてそこからポジション変化に現れるリズムを見させていただきました。多く見られたのは全述のように、外スキー主体で負荷を掛けすぎているにもかかわらず内足を広げて雪面コンタクトをしようという不可思議な体勢でした。また一方で"X脚”状態で、外スキーから外スキーへ踏み換えているために身体の内傾角度をとりにくく、結果外へ押す(堪える)要素が大きくなり、体を動かせなくな り、リズムが出ない、スキーが走らないといった選手も多く見られました。今回はそのような滑りを求めるバーン状況ではなかったと思われます。 また、距離も短い為に極端に浅い弧でいたずらにスピードのみを追求する選手も見られましたが、何を求められているのか把握していただきたいと思います。

小回り・急斜面・不整地

上位のレベルが高くなっていることを感じました。その中でも単にコブにスキーをぶつけて落ちてくるだけでなく、スピードに乗りながらもしっかりスキーが回ってくる滑り方が見られるようになって、日頃の研鑚のあとがうかがえます。観点としては体の落とし方、地形を生かしたターン弧、スピード、積極性を主体とさせていただきました。バンクを上手く使い、負荷の高い外押しではなくスムースなターンを描く要素が多 い方により高得点を出させていただきました。逆にブレーキ要素をターン後半にもってきた、一見リズム感は有るが足下からスキーが動かない滑りやコース端のコブの無い場所を選ばれた方についてはターン内容やスピードを見ましたが、逆に意図が掴みつらい消極的な滑りに見えました。

総合滑降・総合斜面・ナチュラル

大きな観点としてはハイスピード対応能力、斜面変化対応能力といった要素と、トップコントロール要素の2面で判断させていただきました。具体的にはバーンが比較的スピードを出しやすい状況でしたので、技術要素としては内足主導によるトップコントロール要素とニュートラルゾーンにおけるスキーの走り、また途中にあった落ち込んだ斜面への進入、そしてそこでのターン処理といった対応力に重きを置かせて頂きました。
今回の斜面は今年からできたコースであり、滑り込みされている方が少ないこともあってか、全体的にみるとスピードは出ているが体の動きが消極的に固まって、堪えているだけに終わってしまった選手も多かったようです。普段の環境では安全に高速トレーニングをする事は難しいとは思いますが、時間帯や状況を選んで積極的に研鑚を積んでいただきたいと思います。

技術的な事以外では、滑るコースや構成を考えすぎて、スタートから勢いをつけすぎたりして本来の持ち味が出てこなかった選手も見られましたが、今後自らの持てるものを前面に押し出した元気良い滑りを期待します。ブロック大会、また全日本大会に参加される事になった選手の方々におかれましては本番までケガ無きよう体調を整え、更なる研鑚をお願いいたします。
また、惜しくも選考されなかった選手達にも再度の理解確認をしながら来期素晴らしい滑りでお会いできることを期待しています。

最後に、今回はケガから素晴らしい復活をされた選手も数名お見えになったことを喜んでいます。